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きょうとぶんかはくぶつかん
 京都という街の不思議さは、どんな時代・どんな国の風物も“京文化”に取り込まれてしまうところにある。この点、外国文化を積極的に取り入れてきたことで“はいから”に国際化ナイズされている神戸とは大きく異なる点である。
 じっさい妙なもので、京は奈良からひきついで(藤原・長岡とインターミッションはあったものの)都となり、どちらも同じように今も多くの文化遺産を遺す街であるにも関わらず、たしかにいかにも古都らしい奈良とは大きく異なる雰囲気を持っている。

 こう書くと奈良ファンの方からクレームが来そうだが、たしかに奈良は「いにしえは都だった」という“古都”であり、対して京都はいつの時代も現在進行形の“都市”なのである。
 そのひとつの証拠とも言えるのが三条高倉にあるここ『京都文化博物館』である。
 ランドマークというか、目印になっているのは青空に見事に映える赤レンガの建物なのだが、これは実は文化博物館の別館である。もともとは“ニチギン”つまり日本銀行京都支店で、この中は明治39年(1906年)当時のままの美しい姿で残されている。

 逆に本館はシンボルであるこの別館の倍以上のスケールがある7階建ての近代的な建物だ。その一階はエントランスと『ろうじ店舗(京都では路地のことを“ろうじ”と発音し特別な意味を持つ。)』という、いかにも京都らしい食事や工芸品のお土産屋さんなどがテナントとして入っている。
 そして2・3階は常設展示で京都の文化や歴史を展示している。ぜひ見て欲しいのは黒澤明監督の映画で世界的に有名な羅生門(らじょうもん)の模型。といってもこちらは焼け落ちたあとの姿ではなく、落成当初の美しい姿を見せてくれる。しかも裏側は建築中になっていて、ビデオ技術を駆使してホログラムっぽい雰囲気で多くの職人達が働く姿を門の模型のスケールで見ることができる。
 3階にはいかにも京都の文化とも言える、太秦の映画関係の展示室がある。ミニシアターも備えていて、ここでは運が良ければ日本映画の名作をまるごと観ることもできる。→上映される日本映画の予定などが判るサイト

 4階は特別展示。ひと月からふた月くらいのリーチでさまざまな展示を行っているが、基本的には日本の文化や日本に大きな影響を与えたアジア系のものをテーマに取っているように見受けられる。

 ただしこれを観るためには常設展示への入場料¥500(2001年現在)の他に入場券が必要となるが、たいていは¥1,000ほどである。
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 さてもういちど別館を思い出して欲しい。ここはもともと、まるごとの日本銀行である。銀行には金庫というものがつきものであるが、ここではそれを素敵な喫茶店として利用している。

 さきに紹介した『ろうじ店舗』は博物館とは別あつかいなので利用しない限り無料だが、こちらの喫茶店は別館の中にあるために入場料を払ったものだけが利用できるのである。
 その為かどうか知らないが、この“特別な”喫茶店はほんとうに特別なのだ。なにが?それは実際にいってもらえば納得するが、まず空間が違う。

 流れる時間そのものが違うように感じるのはそこが防火のために真っ白なしっくいで分厚く固められ、これまた信じられないほど分厚い鋼鉄製の扉(扉というより巨大な洋タンスのような厚みだ)を持つ金庫室で100年近く前の建物だからというだけではない。椅子・テーブルの調度はもちろん、出されるコーヒーの器も骨董品なのか、重厚な時の流れを感じる品の良さで(詳しくは忘れたが、一客かなりの値段の高級品だったはずだ)特別なら、サービスしてくれる白髪まじり・蝶ネクタイのマスターがあまりにもハマっているので、まるで明治か大正の世界に自分がいるかのような錯覚を起こすのである。
 写真が少ない点は許していただきたい。これらを撮るだけでもなんだかオソレオオイ気がするほど厳粛な気分にさせてくれる、でも妙に気が落ちつく。そんな不思議な博物館なのである。

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