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きょうのあか/その一“しんにょどう”
 京都は秋の紅葉の季節を想ってはるばるとやってこられる方が多いと思う。それも全国どころか世界中から集まってくるのである。じっさい、桜の季節は長くて10日しかないが、紅葉となるとそのリーチはひと月に及ぶので地球の裏側からでもある程度予定を組めるのであろう。

 ところが、である。温暖化のせいかどうかは知らないが、筆者が知る限り京都の秋はけっこう遅い。もっとも、秋の定義はひとそれぞれだ。緑・黄・赤と錦状態を好む人も多い。ちなみに筆者の好みの秋模様は“真っ赤っか”である。身体に、心に染み入ってくるほど赤・紅・朱、どっちをみてもあたり一面真っ赤でないと秋の京都に来た気がしない。

 しかし実はこの条件は非常に難しい。というのは、その年の夏の具合と秋のはじめの天候に左右されるからだ。京都の夏は暑いが、水不足が続くと紅葉の主役であるモミジがちぢれてしまうのだ。おいでになった方は判るだろうが、京都に生えるモミジは葉が小さいのが特徴だ。(真偽のほどは判らないが、聞くところによると、このモミジを抜いてきて別の土地に移すと不思議なことに普通サイズになるのだそうである。)

 さらに秋になってもいつまでも残暑が続くと、このちぢれがどんどんひどくなる。揚げ句に病葉(わくらば)となって枯葉と化してしまうのである。逆にベストのコンディションは、夏とは言っても夕立などの“おしめり”がちゃんとあって、9月下旬になればほどほどに涼しくなり、さらに秋が深まって夜に急に冷え込むような晩が何度もあればしめたものだ。


 が、なかなかそんな年はない。近畿のヒトでもこう言うと疑うのだが、温暖化のせいかどうかは別として、筆者の好む“真っ赤っか”は12月に入り、へたしたらクリスマス直前になるのである。土地によっては真冬になっているべきシーズンだ。 そんなワケなのでたいていはタイミングを逸したり、冷たい冬の雨のおかげでせっかくの赤い葉が散ってしまったり、先の条件の関係で紅葉する前に枯れてしまったりでなかなか望む“赤”に逢えない。

 今回ここに挙げたのは紅葉で有名な寺のひとつ、真如堂。東に哲学の道、西にはまちなかにぽこっと置かれたような吉田山を控える、落ちついたところにあるのだが、紅葉の季節には朝も早くからひっきりなしにヒトが訪れる名所となる。

 その証拠に正式名称を『真正極楽寺』というのだが、紅葉の名所である本堂や三重の塔のおかげで『真如堂』という名が通り名になっている。他でもそうだが、どっちにせよ“名所”と呼ばれる所は人が多い。下手するとラッシュ時のような公共の乗り物に乗り、ブームのアミューズメント施設のように行列を余儀なくされることになる。

 しかし逆にそこがツケメだ。アマノジャクになろう。実は人が多いということは、群集心理が働くのかヒトは人の多いところへ行くものなのである。日本人は基本的にマネをしたがる。この真如堂の撮影隊たちもしかり、である。

 ここに映っている建物は大勢の人に混じって三脚を立てて撮ったもの………ではない。たしかに筆者が撮影している場所以外では老若男女が、あるものはなんのタイミングを待っているのか、でかい三脚をぶったてて微動だにもせずにターゲットを見上げている。あるものは交代で記念写真を撮るのに忙しい…といった具合だ。
 ところが筆者は他人と同じ写真には興味がないし、ウルサイ団体は好まないので、まずウロツク処からしてヒトのいないところを歩く。すると自然と落ちついたポジションを見つけられるという寸法だ。あとはさっさと撮って次の紅葉ポイントを求めてさすらう。筆者が一ヶ所の紅葉などでは満足できないのは桜の時と同じである。

 さて、今年の紅葉はどうだろうか。


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