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  ぎおんまつり 
 実際に山鉾をご覧になった方はお判りだろうが、とにかくでかい。山は1.4〜1.6トンで、15人から25人ほどで曳く。鉾に至ってはなんと14トンにもおよび、上には20人前後の人が乗り込み、30人から40人でこれを曳く。
 木材を縄で結わえた構造だから、曳くとゆっさゆっさと揺れる。しなる。
 見上げれば夏になったばかりのまぶしい空に揺れる鉾の先端は消えている。それぞれ、様々な趣向を凝らした矛先なのだが、まぶしくて高くてちゃんと見えたことがない。
 写真は菊水(きくすい)鉾だが、先端にある菊をかたどった金色の環がご覧になれるだろうか。この金の環の取り付けや、注連飾り(しめかざり)などの飾りは最初に横に寝かせた状態で作られ、大勢の男たちの力によって、えい、えい、えいと立ててゆくところから鉾立が始まるのである。

 残念ながら筆者がおすすめする“宵々山”以前だと動くところは観られないが、そのかわり“ドック入り”している鉾と山が見られる。鉾や山を中心にして前後に引き出物や記念品を並べたり売ったりする、今で言う“ブース”が展開しているのである。


 右の写真がその一例だが、むしろこの頃に見る方が、祇園祭は単なる観光のための祭ではなく、京に暮らす人々の生活に密着したかけがえのない“まつり”であることがよく判る。

 ここで縁起物の“ちまき”や鉾・山ごとに違うデザインの団扇や手ぬぐいなどを売っている。ちまきは食用ではなく、入口の戸の梁の上に飾って魔除けとするものだ。
 そしてそれらを売っている売り子は、むかしから町内の子供たちがする。独特の売り言葉を京ならではの節回しでくりかえし唱える様子には、京の伝統がこれまで続いてきたありがたさを感じ、いつまでも続いて欲しいと切に思わずにいられない。

 よく報道などでは、烏丸通りや四条通りなど目抜きの大通りではそびえ立つビル群に押され気味だとも嘆かれるが、山鉾巡行のためにクルマはすべて排除して遠回りさせ、邪魔になる信号だろうが架線だろうがみ〜〜んな取り外させてしまう「そこのけ、そこのけ、まかり通るぞ!」精神が実に気分がいい。

 だって、32基の山と鉾はぜんぶ神様が乗っているのだから当然といえば当然なのだ。

 余談だが世界から百万人もの人を寄せる祇園祭には逆の効果もある。

 祇園祭の前後ならば京都の他の人気スポットはたしかに空いているのである。 

 この隙にいつもなら人でごったがえすスポットを狙うのもクロウトな京都の攻め方である。