残念ながら筆者がおすすめする“宵々山”以前だと動くところは観られないが、そのかわり“ドック入り”している鉾と山が見られる。鉾や山を中心にして前後に引き出物や記念品を並べたり売ったりする、今で言う“ブース”が展開しているのである。
ここで縁起物の“ちまき”や鉾・山ごとに違うデザインの団扇や手ぬぐいなどを売っている。ちまきは食用ではなく、入口の戸の梁の上に飾って魔除けとするものだ。 そしてそれらを売っている売り子は、むかしから町内の子供たちがする。独特の売り言葉を京ならではの節回しでくりかえし唱える様子には、京の伝統がこれまで続いてきたありがたさを感じ、いつまでも続いて欲しいと切に思わずにいられない。
よく報道などでは、烏丸通りや四条通りなど目抜きの大通りではそびえ立つビル群に押され気味だとも嘆かれるが、山鉾巡行のためにクルマはすべて排除して遠回りさせ、邪魔になる信号だろうが架線だろうがみ〜〜んな取り外させてしまう「そこのけ、そこのけ、まかり通るぞ!」精神が実に気分がいい。
だって、32基の山と鉾はぜんぶ神様が乗っているのだから当然といえば当然なのだ。
余談だが世界から百万人もの人を寄せる祇園祭には逆の効果もある。
祇園祭の前後ならば京都の他の人気スポットはたしかに空いているのである。
この隙にいつもなら人でごったがえすスポットを狙うのもクロウトな京都の攻め方である。