今回紹介する桜の名所は、実はそうしていつもの道をずらした結果偶然に見つけたものである。 場所は賀茂川と高野川が合流する出町柳を下、左を京都植物園、右を修学院として逆三角形を造っているそのど真ん中にあった。 ゆるやかなカーブを描いて静かに流れるその川は、そこを流れている時点ではなんという名前かが不明なのだが、流れを遡ってたどると東の修学院あたりでは『音羽川』であり、さらに遡るとあの哲学の道に挟まれて流れる『琵琶湖疎水』になるのである。 実際に橋の欄干には“疎水分線”とある。 それはともかく、1km弱のこの桜並木は本当にジモティしか知らないのではないだろうか。事実、この写真を撮った時も多少は見物のための違法駐車がいたが、まったくの住宅地にある並木道、しかも土手のある川と言うよりはほとんど堀なので、さすがに座り込みはもちろん宴会など開くわけにも行かず、幼い子どもを連れた親子連れかお年寄りが散歩している程度であった。 だからここは筆者が好む“歩き花見”にはもってこいである。