日本でアップルパイというと、ブラッスリーなどでは扁平ロール型とでもいうか、敷いたパイ生地の中央に具を載せて左右から包むようにしたタイプか、ケーキ屋でも円形のパイ生地に具を載せてから同じサイズの生地をのせて周りを封じたカタチが多いと思う。異なっていてもせいぜい円盤形の範疇を出ない。
だが『ジェリーのパイ』は、よく外国映画で見かけるナベ型なのである。“深さ”があるのだ。
女性の写真の奥にある顕微鏡だか万力だかのような器具が生地をナベ型に加工する器具なのだと思うが、最初に下のパイ生地を器のカタチにし、具を入れたあとでフタをする方式のようだ。
もしかしたら、と思った通り、受け取るとかなり重い。手にずっしりとくる。
いつのまにか仕事の手を止めたジェリー氏がまた傍らにやってきて、温め直しの仕方を説明してくれた。「ExcuseMe, Thank you Very Much」と礼を言うと「Oh, You can speek English?」などととんでもないことを仰るので「No,No」とあわてて否定。でも恥かきついでに「ExcuseMe, One Picture, OK?」とデタラメなお願いをしたらこの見事なえびす顔を撮らせてくださった。ここまで写真映りが良い人は日本人にはなかなかいない。物怖じせず、妙なポーズを構えない欧米人の素敵なところだ。
店を出て良い気分のまま人の気配がさらに少なくなった頃合いを見計らって、さっそく路上でぱくつくことにした。実はこの日は朝食抜きで京都まではせ参じたのである。
ここで筆者の悪い癖が出た。
食べ始めてから、写真を撮っていないことに気づくのだ。ブログの方もそうなのだが、そのせいで食べ物系記事は極端に少ない。したがって、左の上から二番目の写真は持ち帰った残りを再加熱してから撮影した。まことに行儀が悪くて面目ない。
だが、あえて食べかけを写すなどという恥をさらしたのはその中身のボリュームをお伝えしたかったからだ。
そんなわけで右の写真は、筆者の話を聴いた会社の同僚の女性が数日後に電話で購入したもの。下の二つは初めての時に食べられなかった、『鶏肉とマッシュルーム』であるが、大きさは中サイズ。ベシャメルソースの塩加減は上々で、チキンの甘みとコクがちゃんと活きていた。辛口の白ワインが欲しくなる一品である。
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