家々を縫うようにして歩き回ってようやく見つけた時、離れた位置の家の陰からでも、意外に目立ったのがこの樹。
まるで蛇塚のシンボルツリー然といったたたずまいで、『天空の城 ラピュタ』を連想せずにおかない、美しいシルエットの樹だ。
なんとなくシチュエーションも似ていて、他の写真をご覧になれば判るように、石室内部からにょきりと生えている。
だが、確証はないものの、どうやらクスノキに見える。
だとしたら放置したら本当にラピュタのあの樹のようにとんでもない巨木になってしまうことになる。当然そうなれば根元の古墳など力技で押しのけてしまい、簡単に崩れてしまうことだろう。
いや、もしかしたら支えが必要になった原因はこの樹の成長によるのかもしれない。
はるかな太古、どのような手段や目的にせよ、人が作ったものなどは植物や自然の営みにかかっては所詮、ただのこわれ物にすぎないのだと思い知らされる。