その奥、左手にずーっと入ってゆくと、日本でも四基しかない、三本柱で三面ともに正面になる三柱(みはしら)鳥居があるのだが、他の三箇所と異なり、ここの鳥居は『元糺の池(もとただすのいけ)』と呼ばれる泉の真ん中に立っていて、なんともいえない清らかな雰囲気を漂わせていた。
いや、清らかどころか、夕暮れ時で薄暗かったせいもあるかも知れないが、むしろゾクッとするほど強い力を、そこに近寄りがたいほどの神聖な存在を感じ取った。
例えがヘンかも知れないが、アーサー王物語に出てくる、神剣エクスカリバーを秘めた湖はきっとこんな風に神々しかったに違いないと思える泉だった。
この鳥居は1831年に再建されたそうだ。ウィキに依ればそれ以前はかの葛飾北斎の『北斎漫画』に木製の鳥居として描かれているとあり、刊行された年代からすれば1800年頃のことのようだが、絵をみる限り泉がなく、むしろ高い位置にあるように描かれているので果たしてこの鳥居の絵かどうかは少々マユツバだと筆者は思っている。
綺麗に整備された道路に面した正面の磨き丸太でできた鳥居は、初めて来た時と変わらずに美しい。
それは今も変わらないが、当時と今で激変していることがある。
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