しかし120度ほどに開いた位置関係で配置された橋そのものの撮影も難度が高い。
大阪側から最初の鉄橋───木津川鉄橋に入ると、次の宇治川鉄橋は左手に斜めになる。つまり、構図上美しいアクセントになるふたつめの鉄橋は、どうしても運転士の肩越し、頭越しにしか見えないのだ。
さらには時にマニアが自分の隣で仁王立ちになってカメラを構えていたり…なんてこともある。それも時には数人が固まっている事さえあるからびっくりする。実は筆者の場合、これらの写真は割とコソッと撮っている。
限られた寸法の窓から見える景色は、自分だけのものではないからだ。筆者は、写真は好きだがこのマナーだけは忘れてはならないと思って常に後ろには気を配るようにしている。
デジカメの場合、これは案外簡単だ。背面にある液晶画面がバックミラーの代わりになるし、基本的に撮影時は両目を開けているからだ。
毎年毎年、桜の季節になるとそうやって年に一、二度、数秒だけの花見をしてきた。だがある時、その桜並木に沿って多くの人が花見をしている光景が目に入った。
川に沿っての道路上だから、クルマでなら観られるのだろうか。しかし筆者はクルマとは無縁である。しかしいずれにせよ、一般人でも歩いて行ける場所であるのは間違いない───ということはそれで判った。
だが調べようがなかった。愛用していた京都観光の本で、石清水八幡宮の周辺を記載しているものはなかったからだし、運転しない筆者は自動車用の地図を利用するなどという発想そのものがなかった。いや、よしんばあってもそこまでして行きたいと思わなかった。洛中にまだいくらでも行った事のない場所が多くあったからだ。