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見出しタイトル
にねんざか・さんねいざか・
ちゃわんざか・ごじょうざか
清水から坂を望む
清水寺山門より産寧坂をのぞむ
 五条通りからゆっくりと曲がりながら清水寺へとのぼってゆく五条坂〜産寧坂(さんねいざか。三年坂とも呼ぶ)、とくに産寧坂は、知名度では国際的と言えるほどの観光スポットである。

もちろん、全国から集まってきた観光客も修学旅行の学生もここを通ってゆくから、休日、しかもシーズンの混雑ぶりはヘタしたら二度と京都に足を運ぶ気を失わせるに充分の迫力である。

 できることなら平日に訪れたいところだが時間に不自由な勤め人ではそうもいかない。そこでシーズンをはずしたり、朝早くに訪れる式のシフト作戦でこの著名な坂のもつ本来の姿を楽しんでみたい。

 しかしそれも「かなんなあ」、という人のために神様(仏様?)はちゃあんといいコースを残しておいてくださっている。それが通称“茶碗坂”と呼ばれる清水新道である。五条坂から産寧坂、そして清水へと通じるコースとたったひとすじ違うだけなのに、こちらはじつに閑静だ。しかも名の通り、名だたる清水焼のお店が並び、ユニークなセンスの品揃えも嬉しい扇子の専門店もある。

 ほかにも目を凝らすと奥まったところに庵のようにしてたたずむ可愛い工芸品の店などもあって、いちいち寄り道していると目の前にあるはずの清水寺になかなかたどり着かないほどだ。

↑女子高生とみやげもの屋、どっちが名物!?

↑貸衣装の舞妓さんはよく見かけるが、これは本物のお坊様。………二年坂にて。
↑ずらりとならんだ土人形。ひとつひとつ表情が違い、気に入ったものをえらぶのがまた楽しい。

←五条坂から清水を見上げるおなじみの風景…これで電柱が無くなったら最高に美しいのだろうなあ

↑土でできた猫とそのスケールに合わせたかのように妙になじんでいるこたつと鍋料理などのミニチュア。二年坂にて。
セットのものではないのでディスプレイなのだろうが、欲しくてたまらなかったので写真でしんぼうすることにした。
ちりめん素材でこしらえた、思わず欲しくなってしまう手作りの可愛い猫の置物。大人の親指よりやや大きいくらい。
茶碗坂のちいさなおみやげやさんにて。
 二年坂から産寧坂へと続く基部にあるのが名物で名高い『七味屋本舗』である。それほど珍しい七味を売っているわけでもないが、こういうところにあると、それだけでなにかいかにも「京都に来たぞ」という気にさせてくれる。もちろん、創業そのものが京都の老舗らしく、現代人に馴染みのない年号であることはいわずもがなであるが。

 “ねねの寺”で知られる高台寺のある北から下ってくる二年坂と西の松原通りから通じる清水坂、そして東山五条から上ってくる清水坂と合流して清水寺へと続くのが産寧坂であるが、その基部にあるのが名物で名高い『七味家本舗』である。


<七味家>京名物 辛口 七味唐がらし
 しかし実は、変わり種だとか、特に珍しい七味を売っているわけでもない。場所柄、客足はひっきりなしで押すな押すなの状態が続く。こういうところにあると、それだけでなにかいかにも「京都に来たぞ」という気にさせてくれる。
 だが実際にここの七味を味わってしまうと、そんじょそこらの七味などでは物足りなくなる。

 香り、コク、配合のバランスが絶妙なのだ。単に辛いでは七味ではない。そしてベースとなる一味も、使ってみれば“たかが唐辛子”にも、味もあれば旨味もあることに驚かされる。さすが、と言わねばならない。けして地の利だけで続く老舗ではなかったのだ。

 もちろん、京都の老舗らしく、創業そのものが現代人に馴染みのない年号であることはいわずもがなであるが、筆者のこの店でのオススメはひとつが一辺2センチに満たないサイコロ型の七味入りチーズと山椒入りチーズであるが、いずれも単に珍味というネタではなくて、辛みよりは唐辛子本来、山椒本来の甘みを感じさせてくれる逸品である。
 もちろん、ここの山椒も超オススメだ。これぞスパイス。鰻に、焼き鳥に、もうこれなしではいられなくなる。一度使えば、大手メーカーの山椒が香りのないただの粉に思えてしまうだろう。

<七味家>京名物 山椒の粉

 また、坂を下ってゆくときには急いで下りてしまわずにひと休みしてみてはいかが。この四ッ辻から少し清水坂を下がったあたりにある駐車場からは巨大な京都駅ビルと京都タワーまでが一望の下に見渡せるのである。いずれも、建設当時は景観問題でさんざんもめたものだが、できてしまうとそれなりに名物になってしまっているから京都のふところの深さには驚く。
 産寧坂は清水の参道である以上、どうしてもみやげ物やが立ち並ぶ。だから観光スポットには定番のともいえるペンダントトップに名前を彫ってくれるスタンドや、何を勘違いしたのか場違いな存在感で雰囲気をぶちこわしにしているタレントショップもある。しかしそれでも京都という1200年の流れを持つ街にとっては、そんな姿は一瞬のあいだだけまとっているだけの一皮に過ぎないのかも知れない。
 京都という街は文字通りの“都”であり、街であり、町でもある。そして過去であり現在であり未来がある。歴史と生活を1200年分すべてオーバーラップさせた不思議な街だ。
 ともあれ、今日も活気に満ち、明るい笑い声がおちこちに聴こえる。いつ行っても、どこか懐かしくてわくわくさせてくれる。

 産寧坂を下りきったくらいのところにあるのが『三年庵』という“おかき”のお店。

 一応、『せんべいの店』と地図本などには紹介してあるが、関西では平たかろうが棒状であろうが塩・醤油味系の米菓子は“おかき”と称する。
 若い人は知らず、年輩の関西人にとってせんべいとはむしろ有馬・宝塚名物の炭酸煎餅のように甘いものを連想するのである。

 それはともかく、ここのおかきはどれも美味しい。一枚単位から売っているので、焼きたてのアツアツをかじりながら八坂さん(八坂神社)へと足を向けてゆく。なかでも“一味のおかき”にトッピング(コーティング?)された一味唐辛子は1mm角ほどもあるチャフ粒状なので見た目の迫力からして周囲の観光客から注目の的になること確実である。
 ウケねらいもあるのだろうが、実際唐辛子も含めて味は大変良い。肝試し(根性だめし?)に一枚試してみるのも一興である。