この時点で既に11時50分。ここに至るまで、筆者が少々焦り気味だったのには理由がある。
とにかく、後にも先にも『京都の紅葉シーズン』とはすなわち、どこへ行っても異常なほどの人混みに出くわす…ということを覚悟しないといけないからだ。場所しかり、乗り物しかり。
この撮影をしたのは2012年11月10日。紅葉の遅い近畿の地上でもそれなりに樹々が色づき始めている頃で、まして冷涼で朝晩の気温差が激しい山の上は既に紅葉真っ盛りである。
それでなくても観光業界、そしてJRのキャンペーンのように、夏の終わり頃からこぞって京都の秋を宣伝して「やって来い」とあおり立てているのだ。日本全国どころか世界中から個人団体問わずの観光客が大挙押し寄せて来るのは当然だ。
まして比叡山は五指に入る紅葉の有名スポット。ケーブルカーがさながら通勤ラッシュのようなありさまでギュウギュウ詰めになるのは予想に難くない。
そんな状況をかいくぐって、土日でありながら落ち着いた風情で静かな京都の秋をゆったりと堪能する…という難題をクリアするのが『京都おちこちぶらぶらよそ見旅』がテーマだが、今回採った方法は『早駆け』だった。
予定では始発で家を出るはずが寝坊してしてしまったこともあり、結果的には早駆けにはならなかったのだが、それでもこの時間(11時50分)にもかかわらず、運良く駅も空いていた。一本ケーブルカーを見送って駅を撮影する余裕すらあった。
《その二へつづく》