この世の全ては偶然が必然に、必然が偶然に起こるものとはいえ、もしもスムーズに電車の乗り換えをしていたらずっと早くに山上に着いていたし、そうであれば当然イラチ(せっかちでこらえ性のない性質を表す大阪弁)な筆者の事、やはり先を急いで歩いて行ったはずだ。ならばこれらの風景や風情を知ることはなかった。
また、同じようにずれたタイミングで山上へ上がっていたとして、もし雨が上がるのを待たずに先を急いでいたらやはり見逃していたし、空腹を覚えて握り飯を食べようと考えなかった場合でも、虹に出逢う事はなかった。
筆者は自他共に認める『超晴れ男』であり、また雨が降る日でも『妖怪カサイラズ』を自負するほどに雨のせいで不利益を被った事が無いに等しい。だが、これほど雨に降られてトクな思いをしたのはあとにも先にもこれだけだ。
さらにその時は分からなかったが、帰宅後にMac画面で画像をチェックしてもっと驚いた。