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ぎおんまつり            
 ♪こんこんちきちん、こんちきちん…梅雨が明けるか明けないか、晴れれば太陽がじりじりと照りつけ、そうでなければムシムシと暑いこの時期が来ると洛中は祇園祭の準備でにぎわう。
 京都以外にすむ人にとっては、一年の内幾日かのイベントのように思うが、洛中に住む人々にとってはほぼひと月に渡る長い長い、まさに“お祭り”である。
 打ち合わせに当たる『吉符入』に始まり、『くじ取り』『お迎え提灯』『神輿洗』と小行事がつづき、『鉾建・山建』で鉾(ほこ)と山(やま)が一斉に組立て準備にはいる。

 鉾と山の違いは、例外もあるが、おおむね鉾が大勢の人を乗せて楽曲を奏でるのに対して、山は人を乗せず、様々な飾りやカラクリ人形などを乗せているところだが、唯一“四条傘鉾”だけは山のスタイルを持っていて人は乗れない。
 逆に“北観音山”と“南観音山”は大きくてお囃子も乗って鉾の体裁をもっている。
 そんな鉾と山は合わせて平成15年現在32基あるが、今も復元作業中のものがいくつかあった様な気がする。
 まあ鉾と山の細かな説明や解説はよそのサイトに詳しいのでそちらを参照していただくとして、ここは『ぶら旅』らしく人様があまり興味を示さないような角度から祇園祭をお伝えしたい。


 ぶっちゃけた話、祇園祭当日と宵山の洛中は正直言って“もう、むちゃくちゃ”である。人、人、人、人。気温だって絶対に体温より高い。目の前にある場所へ移動するにも、ぞうろ、ぞうろと人の行列に沿ってしか行けない。人にぶつかる。もみくちゃになる。“いらち(関西弁で言うところの、せっかち・いらだち屋)”である筆者はとてもじゃないが耐えられない。ヘタしたら明けたばかりの筈の梅雨の戻りがあったりして夕立に遭うことも多い。

 だが、ぶら旅の精神ではそんな世界的な祭でさえも悠々と愉しむ方法を見つけられる。

写真左/これこそジャパニーズアート。
写真右/これを撮影した2001年水引と呼ばれる横幕を新調した南観音(みなみかんのん)山。

 いわゆる“祇園祭”で知られているのは“山鉾巡行”とその前夜祭である“宵山(よいやま)”だが、先にも書いたように、祇園祭は一ヶ月に渡る。だから祇園祭のものすごい人混みは耐えられない、でも雰囲気を味わいたいというのならば、鉾の組み立てが始まってから、そして宵々山(よいよいやま・巡航の二日前)あたりに行かれるといい。

 32基ある山と鉾は祭の当日に突然現れるわけではない。一週間ほどかけてそれぞれの鉾や山の本拠地となっている町の路上で組み立て始めるのである。すべてのパーツを一年ぶりに倉庫からひきだしてきて、しきたりにのっとって縄とその様々な縛り方だけで組み立てる。クギもネジも一切ない。だから組み立て前の鉾と山はただの材木と縄である。強いて言えば飾りに使うパーツだけが唯一“らしい”部分だ。
 実は“縄がらみ”と呼ばれる縄の結び方も山鉾ごとに微妙に異なっているのを見られるのも、鉾立の時期にしか見られない“通”な楽しみ方である。

 左の写真は組み立て途中の“蟷螂(とうろう)山”。比較的小型な山だが、上にある小さな屋根の上にカマキリのカラクリ人形が乗り、下からそれを操って動かせるようになっている。


 こういったことは宵山や当日では当事者以外ではあり得ないし、まず見ることも叶わない。
 他の山も、中国の故事などの一シーンなどをテーマに人形などでこしらえたジオラマであるものが多い。いわば現代のパレードにおけるデコレーション車の元祖である。ひょっとしたら世界初だったかもしれない。
 また、組み立てが終わった鉾は場合によっては一般にも公開していたりして、上に乗って見学させてもらえることもあるので、チャンスを見つけたら貴重な体験なのでぜひチャレンジしていただきたい。
 乗り込みははしご段の場合だったり、隣接した家の二階から直づけタラップで渡る場合もある。               *その2へつづく