ほかのページにも書いているが、筆者が好む紅葉は“真っ赤っか”である。右を見ても左を見ても、上を見ても足元を見ても真っ赤っかというのが望みである。だがこの“真っ赤っか”というのは紅葉で言えば最終段階。まして足元までということはかなりの量の葉が散りまくっている必要がある。
これが三割程度の散り方では散っているのは枯葉や病葉(わくらば)がほとんどで、当然足元までは赤くなく、逆に七割も散ってしまうと今度は頭上の樹々の方がかなり寂しくなっているのである。つまり五割程度の散り方が理想なのだが、このタイミングが実に難しい。
紅葉を“錦染め分け”から“真っ赤っか”までと捉えると約ひと月の期間があるが、特定の色彩を求めるとなるとこれは目的地の地理的条件…海抜高度とか山の東西とかで気温や湿度が変わってくるし、その年の気象条件…雨の多少や夏の長さ暑さなどで樹々の染まり方もおのずから違ってくる。
ベストタイミングは必然的に一週間前後にしぼられてくるわけだが、まあそのへんが肌で季節の移り変わりを感じ取れるジモティと多地方から京都めがけて行く人間の違いである。