ひとつはこの松野醤油。創業文化二年(1805年)という江戸時代も後半からこの地で醤油を作り続けておられる。 京都の老舗としては新しい方だが、醤油の歴史自体が室町時代に生まれて江戸時代でようやく庶民のクチにはいるようになったという程度の“新しさ”である。
あいにく外観の写真はないが、こちらも構えからたいがいな老舗であることが判る。なにげに横を通っただけだったが、風になびくのれんの切れ目から、まっ白で旨そうな餅が目に留まった。筆者は気がつくとのれんを分けて店先に並ぶ餅を前にしていた。 ぷうん、ときな粉や草餅の良い香りが店内にたちこめている。餅たちは丁寧に組まれた木枠のケースに行儀良く並んでいる。昔筆者が幼い頃の和菓子屋は皆こうだったように思う。さすがに今はプラスチックのパックに入ってこそいるが、ガラスとステンレスのケースに閉じこめたのでは通気性がなさ過ぎて、ここまでいい香りはしない。
シーズン中は嵐山方面へ行く人でごったがえすが、これも時間に余裕を持って梅田駅では一台遅らせて次のに乗り、桂では嵐山方面へ乗り換えるために降りる人が大半だし、彼らと共にノタノタのんびりと降りればよいので車両の奥に座ってしまっていても降りられなくなる、という心配はほとんどない。 さらに、同じホームの反対側に止まっている各駅停車はさらに乗る人が少ないのでこれまた空いている。もっと余裕のある人は、最初から準急を利用すればかなりラクに行ける。