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たかのがわ
 今回から三回に分けて“ぶら旅流”の節操のない桜探訪をおとどけしたい。
 第一回は高野川(たかのがわ)である。

 加茂川は新撰組だの鞍馬天狗だの、京都を舞台にした時代劇や歴史的やらなんやかんやで登場するので全国的な知名度を誇るが、出町柳で合流する前のかたわれである高野川はとんと知られていない。

 地図で見ると、出町柳を中心にして真南に加茂川、西に鴨川、東に高野川と見事なY字型のシンメトリー(左右対称)を描いていることが判る。

 高野川の上流を辿ってゆくことは、そのまま叡山電鉄鞍馬線のルートでもあり、南から一乗寺、修学院、宝ヶ池、三宅八幡そして八瀬へと通じる。さらに、比叡山の裾野をたどりつつ、やがて源流として大原の山の中へと消える。
 一方の鴨川はというと、この『ぶら旅』の『加茂川の桜』でも紹介しているしだれ桜の『なからぎの道』を経由して京都府立植物園と上賀茂神社の横を通っているものの、それ以降は突然のように細い川となってうやむやになってしまうし、また散歩道として楽しめるのも植物園あたりまでで、以北は別段変化もない。


 そういう点で言えば高野川は途中で横道にそれても近距離になんやかんやと見聞きするポイントも多く、ある意味、なかなか味のあるルートなのである。

 桜がこれでもかと咲き誇る春爛漫の加茂川&鴨川沿いは毎年桜見物でたいそうにぎわう。基本的に公道なので、円山公園みたいな修羅場の宴会場になったり、清水寺方面のような押し合いへし合いのバーゲン状態にはならないが、それでもけっこうな人出はある。

 ところが、高野川も同様の規模で桜が咲いているのだが、たいていが出町柳駅前の河合橋を渡って右へ折れる下鴨神社行きか直進して鴨川方面へ行く人で、渡らずにそのまま駅前の高野川に沿って北にはウソのように人が行かない。
 川幅などは鴨川とさして変わらないのだが、水量が少ないのか浅瀬や草ボウボウ(自生の菜の花さえも咲いている)の州が目立つ。

 そのせいだろうか、妙なもので同じように満開の桜が連なっていても高野川は地味に見える。だがおかげでのんびりと散策が楽しめるのである。

 ただし、メジャーな鴨川と違って高野川はわざわざ公園遊歩道としてこしらえているわけではないので、道は狭い。場所によっては一列縦隊ですれ違うしかないような幅の場所もあるので、向こうから人が来た場合は譲り合いの精神を持ちたい。

 とはいえ、好きなところから土手上の道へ上がることもできるし、ご覧のように桜の盛りの昼下がりでさえこんな調子なので実にのんびりしたものだ。


 出町柳駅を発すること1.4kmで北大路に達し、さらにカナート洛北を200mばかり北上すると哲学の道に通じる疎水にぶつかる。(Yahooマップ→■)といってもこのあたりでは疎水は地下に潜って地上は駐車場になっているためふだんなら気づかないが、この季節だけは10mほどルートを東へ逸れると桜の木が東南へと続いているので疎水に出逢うことができる。
 Googleマップの航空写真で見ると、そこらへんの不思議な配置関係がよく判る。→■■■

 さて、ここから疎水を東南方向へ辿るのだが、これでもかと桜が咲き誇る京都市内の琵琶湖疎水全体で、珍しく桜の花がほとんどない地域が1kmほどつづくのである。
 これには筆者も驚いた。疎水はその起工と共にえんえんと桜が植えられてあり、このルートを辿ろうと思った時点でアテにしていたからだ。なぜこの地域だけこれほど桜がないのかは不明だが、ここを歩かないと次の目的地へ行けないのでひたすら歩く。
 1kmほど歩くとふたたび桜が目立ちはじめる。すると左手に旧家というか、けして大きくはないが上品なたたずまいの二階建て洋風日本建築があらわれる。


 オオ、なんか素敵やないか…。

 そう思ってシャッターを切りながらジロジロと観察。ふと見ると『京都市指定有形文化財 駒井家住宅』の銘板があり、アメリカ人の有名建築家設計による昭和二年の名建築らしいことが判る。
 どうやら有料で拝観できるらしいのだが、あいにく通りかかった時が終了時間だったので諦めざるを得なかったが、後日ネットで調べてみると、ごく最近修復が終わって一般人も拝観できるようになり、文化財マニアには知る人ぞ知るスポットとなっているらしい。

 京都は1200年の都だが、平安の時代と同時に今では遠くなった昭和の京都もまた、いにしえの京都の一ページなのだ。
 次の機会にはぜひ覗いてみたいものである。
 しかしご時世というかたいしたもんで、ちゃんとこの『駒井家』を維持されているナショナルトラストの駒井家のブログがあった。この家の保存・維持のためにがんばってる人たちのいろんな話が聴けるのでなかなか楽しい。
 訪れる前にぜひ一読されたし→■■

 さらに『駒井家』のデータなども。→■■■

 そして指定文化財とかではないようだが、できればノスタルジックな青春もののドラマの舞台のロケにでも使いたいような建物も発見。どうやらアパートらしいのだが、実に個性的でいい。個人的には駒井家よりもこちらのほうがなんともいえない味があって好みだが。

 ぶら旅のオツな所はこうした素敵スポットとの出逢いにある。1kmもの桜不毛地帯を歩いた甲斐はあったというものだ。

 さらに1kmほど疎水に沿って南下すると今出川通りで銀閣寺道に出る。写真はないが、町歩きとしてはなかなか味わいのある道になっている。
 途中、今出川通り直前でいきなり人が行列していたので驚いたが、雑誌か何かで知られたラーメン屋があったようだ。

『法伝寺』へつづく

 マピオンマップによる
 今回のぶら旅ルート→■■■


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