筆者の住む街にも祭はある。祇園祭と同じ、7月17日だ。しかし、祇園祭ほどではないにせよ、その祭の御神体である神社の発祥は太平記の昔に遡るから歴史だけはそれなりに古いが、“まつり”という言葉で行われているものは単なるイベント、遊びとなにも変わらない。
哀しいかな、年長者から若者へ伝統も意味も伝えられてないからだ。
かくいう筆者も、土地の歴史はあくまで地史としてのちに好奇心ゆえに文献から学んだ事であり、土地の人から聞いた事は一度もなかった。これは祭ではあっても『祀り』ではない。
京都には、祀りが活きている。一年365日、家々に、街角に祀りが活きているから、京の都は世界に冠たる日本の魂でいられるのだ。
祇園祭。ここに京都の夏は、始まる。
この撮影日は2009年7月12日。祇園祭は曜日ではなく、同じ日に行われるから鉾立のタイミングは天候次第だが、だいたいこの日にご覧のようなフィニッシュに近い状態となる。だから運がよければ、これら文字通りの『鉾立』にお目にかかれるわけだ。
*最後に、撮影の際ご協力いただいた各鉾町の皆様に心からお礼申し上げます。