由来などは例によって理解していない。だが、漫画家を目指したものならば、やはり知っておきたいのが世界史上初の漫画『鳥獣人物戯画』であり、それがあるのがここだ、ということだ。
まあそれはどうせ見られても複製画であるし、絵ヅラなどは大体知っている。スゴイとは思うけど、拝んだところで絵が上手くなるものでもない。ちゃあんとチケットにもごく一部が載っているので、これで充分だ。
なので、もうひとつの“ここが始点”とされているものを見に来たのである。
それが、『鎌倉時代初期に明恵上人が栄西禅師から送られた種を植えた事で開かれた最初の茶園』である。棒読み状の転記なのは、筆者としては茶の花を見てみたかった、というのが本音で、由緒などは二の次だったからだ。
茶園と言っても、囲いの中に椿やサザンカに似た地味な低木がおちこちに植わっているだけだ。
とはいえ、ひとつひとつの花には、どこか惹かれる美しさがある。
姿形からもお分かりのように、茶は椿の仲間だ。だが花にはまったく華やかさはなく、ときにその花びらの形はいびつでさえあり、その花の数さえもごく少なくて、カメラで切り取って絵にするのにも苦心する。しかしこれほど飾り気がないと、むしろ凜とした潔さに感動すら覚える。
いつの日か、ささやかなひと鉢でいいから、ぜひ育ててみたいものだ。