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中毒患者が禁断症状に喘ぐようにして次の桜を求めて歩調を早くすると、ふたたび疏水沿いの桜に出逢う。
出逢ったら出逢ったで、またここの桜の濃度の高いことも特筆すべきだ。
桜の花を透かして所々にはもみじの若葉も芽吹いている。秋には桜の葉が、そしてもみじが紅葉して再び感動の光景をくれるのだ。
こうして『京都おちこちぶらぶらよそ見旅』の季節ごとの記事を毎年のように書いていてふと思うのは、これ以上の桜との出逢いなど考えられないのではないか、ということだが、小さな人間などが心配しなくても桜に関しては必ずといっていいほど、ひとつやふたつの新たな感動、新たな発見があるから自然というのはほんとうに素晴らしい。
さらにゆくと、ついに高野川とぶつかる。
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が、このページ最下段にリンクしてあるGoogleかYahooのマップをご覧戴くとお分かりになると思うが、疏水の面白いところは川とは交わらずに、そのまま高野川の直前でいったん地下へ潜り、川の地下に埋設したいわゆる土管を通して向こう岸からまた現れるところである。
上の写真の黄色い車の向こうに見えている桜がまさにその始まり『松ヶ崎疏水』のスタート部分だ。
憶測だが、あくまで疏水は直接の飲用は別としても、上水道の代用またはそのものであり、下水───といっても明治の当時では今とはまったく意味合いが異なるが、使った生活排水を放出するのが目的の川とは一線を引いて区別していたと考えられる。しかし当時はどうやって工事したのだろうか。
やはり一度高野川を堰き止めるとかして土管の埋設工事をしたのか…残念ながら現時点では調べ切れてないが、いずれにしても明治の人々のエネルギーには本当に驚かされる事が多い。
疏水を追いかけてすぐに反対側へ行きたいところだが、あいにく200メートルほど下流の高野橋か、200メートル上流にある名もない橋を渡り、再び同じ距離を下流まで戻らないと疏水は追えない。
だがおかげで高野川沿いの見事な桜も堪能できた。
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あいにく自動車の往来が激しく、自転車も狭い歩道を走ってくるので落ち着きがないのが玉に瑕だ。
個人的な望みではあるが、世界に名だたる国際観光都市を名乗る京都、それも観光スポットひしめく洛中なればこそ路面電車を復活させてトランジットモール(公共交通機関と歩行者のみに通行が許され、主に路面電車を中心に構築される場合が多く、日本でも徐々に採用する地方自治体が増えているシステム)にすべきではないのか。
『蹴上インクライン』のように、スケールの大きな栄えある“日本最初”のパイオニア精神溢れるハイカラ京都なのだ。今こそ洛中トランジットモール化を断行すべきだと思うが如何だろうか。
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賀茂川に比べると水量が少なく、ところどころに露わになった中州も多いのが高野川である。
同時にその中州には緑も多く、夏の頃になるといわゆる“草ボウボウ”になるので、地元の方たちで大汗を流しながら伐採作業をされたりするのだそうだ。見ているだけで済む観光客の筆者にしてみれば実に無責任だが、春の状態だけを見る限りは川の風情として実に自然で美しい。
また、こういう状態であればこそ水棲昆虫が多く発生し、それを食べて鮎などの小魚が繁殖し、またセキレイや白鷺、アオサギ、ゆりかもめなどの鳥たちが訪れる環境が整うし、眺める人々の心も和もうというものだ。
おそらくは平安の昔など、どこの川もこんな感じだったに違いないのだ。
そういう意味では、このシリーズの最初にあった、石垣で人工的な溝にしてしまっている南白川あたりとはずいぶん様子が異なる。まあ高度成長時代と異なり、コンクリートなどが水質環境に悪影響あるという事も常識化してきているので、それほど心配はしていないが。
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そんな高野川の桜は、土手の上または斜面にあり、ここも白川通りと同じく、大きくオーバーハングした枝が、しなりを感じるほどたわわに花を付けている。あとで登場する賀茂川の桜と比較するのでよくご記憶にとどめて戴きたい…といっても、また別窓で開くリンクは貼るつもりだが。
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山に描かれるは五山の送り火の一つ『妙法』の『法』の文字。かなり仰角のある低い山でありがながら、洛東、東山あたりを歩いていると意外に家の屋根々々の間やらビル影から『妙』の文字と前後してひょこっと見えたりして、まさに“妙に”嬉しくなる。
その前の白い橋が折り返し点。名前を調べたが、GoogleにもYahooにも、それどころか自分で撮った写真もGoogleの例の進化し続ける“現地画像検索人形”でも見いだせなかった。
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───で。折り返して先程チラリと見えていた“松ヶ崎疏水”のスタート地点がこちらである。
実は何度も訪れていたものの、完全横断はしていなかったことにこの時初めて気がついた。というのは、もしも一度でも見ていたとしたら、この個性あるオブジェちっくなコンクリート製の建物を忘れるはずがないからだ。
ところでこの建物が実際はなんの役に立っているのかはわからないが、ここが『松ヶ崎浄水場』であり、どうやらポンプで汲み上げるかして一度川底の、更に下へもぐりこんだ疏水の水をもう一度地上へ揚げていると思われる。
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